薩摩の焼酎の歴史と特徴とは?詳しく解説

薩摩の焼酎の歴史と特徴とは?詳しく解説

薩摩焼酎といえば真っ先に芋焼酎をイメージする方も多いでしょう。薩摩=鹿児島の地酒として芋焼酎をイメージするまでになったのには、古い歴史の積み重ねであるといえます。ここでは薩摩の焼酎の歴史とその特徴、代表的な薩摩焼酎・芋焼酎について解説をしていきます。

薩摩焼酎と芋焼酎の違いとは?

薩摩焼酎とは産地呼称である鹿児島の地酒を指します。「産地呼称」とは伝統的な地域固有の製法、及び製品を保護する目的として作られたもので、世界貿易機関の定める「地理的表示制度」に基づく基準が定められています。

薩摩焼酎では以下2点の基準が定められています。

  • 原材料に鹿児島産のサツマイモ、水、米麹、芋麹を使って酒造する
  • 名瀬市と大島郡を除く、鹿児島県内で酒造され、単式蒸留器で蒸留し、容器詰された芋焼酎である
    単に薩摩の場所で酒造されたものは薩摩焼酎とは呼ぶことができません。
    地元鹿児島の素材を使い、こだわり抜かれた酒造方法で作られた焼酎こそが薩摩焼酎と言えるでしょう。

なおこれらの基準に該当せず、薩摩焼酎としてではない銘柄でも地元鹿児島ではサツマイモを原料とした芋焼酎が数多く見受けられます。このように薩摩=鹿児島が芋焼酎をイメージさせるようになるまでには過去の歴史が関係しています。

薩摩焼酎の歴史

薩摩でも16世紀初頭では米、稗、粟、キビなどの穀類を原料とした蒸留酒が主流となり作られていました。しかし、桜島の火山灰に覆われることとなったシラス団地であることから、米作に不向きな土地であり、米不足が深刻化していました。

そんな中、島津斉彬公が芋焼酎の発案をします。その理由には実は意外な結びつきがありました。

西洋の武装に対応するべく、薩摩では雨天でも発砲が可能である「雷汞」という砲弾や軍艦を作り出すために、機械工業の操業を始めることにしました。しかし、これらの武器を作成するためにはアルコールが必要です。しかし、当時米不足に悩まされていた薩摩では、米はとても貴重な食物であり、武器製造に使用することでより深刻な米不足を招くことが懸念されました。

そこで、島津斉彬公は安価で手に入りやすいサツマイモを使用してアルコールを作成するという発案をしました。これが現在の芋焼酎の起源となります。

芋焼酎の特徴

芋焼酎の特徴というとかつては「香りがきつい、臭い」といったイメージも強かったようですが、現在では様々な食事と共に楽しめるように、すっきりとした味わいのものが多くなってきています。

また使用するサツマイモに関しても、煮たものを使うのが一般的ではありますが、焼いたものを使用したり、米麹ではなく、芋麹を使った100%芋から作成された焼酎を酒造したりするという、サツマイモに対するこだわりや愛情を表現したお酒ということができるでしょう。

また飲み方の特徴として薩摩焼酎は「黒ヂョカ」と呼ばれる陶器でできた酒器で飲むという伝統的な飲み方があります。黒ヂョカは平らな急須のような形をしています。飲む前日に、割水をした焼酎を弱火で火にかけて使用するのですが、この黒ヂョカで飲むと、芋焼酎をまろやかに、より美味しく楽しむことができます。この黒ヂョカは薩摩焼酎であることを表すシンボルとしても焼酎に描かれています。

薩摩焼酎の代表的な銘柄

ここでは薩摩焼酎やその他鹿児島の代表的な芋焼酎の銘柄やその特徴について解説をしていきます。

黒伊佐錦

焼酎好きの間で人気となっているのが、黒伊佐錦です。伝統的な黒麹を利用して、コクがあってまろやかな口当たりを実現したのがこの黒伊佐錦であり、黒ブームの先駆けとなったお酒だと言えます。
また、白麹を使った焼酎と比較すると甘味をより強く感じられることも特徴の一つです。芋焼酎のメッカとも言われる鹿児島の中でも最高評価を受けるほどの焼酎です。

天狗櫻

天狗櫻の原料として小ぶりな芋を使用しているため、原料由来の独特な風味を楽しめるのが特徴の一つです。甘く濃醇な味わいが特徴であって、芋の香りを存分に味わえるので、ロックまたは濃いお湯割等で飲むことがオススメです。

一尚

一尚にはシルバーとブロンズの2種類があります。シルバーは黒麹菌と江戸酵母菌を使用して、「手すきろ過」によって醸し、小牧醸造が100周年と記念して酒造された芋焼酎となります。
爽やかで、香りは軽やかで香ばしさと甘味があるのが特徴です。

ブロンズは白麹を使って、ビール酵母を使用した超低温発行によって醸す方法で作られた焼酎です。軽やかな口当たりと、甘味というよりビターなニュアンスを楽しむことができる特徴があります。

富乃宝山

芋焼酎でも人気のあるのが富乃宝山です。ロックで飲める芋焼酎を目指して作られたため、口当たりはフルーティーでまろやかな味わいがあります。芋焼酎ならではの甘みもあり、普段芋焼酎をあまり飲まないという方でも楽しめる味わいとなっています。飲み方はやはりロックで飲むことでその美味しさをより深く味わうことができるでしょう。

まとめ

薩摩の焼酎は歴史上の米不足から考え出された古人の知恵の結晶です。そのため現在でも大切に受け継がれ、薩摩の芋の特徴を生かした味わい深い焼酎が今尚数多く揃っています。

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